スティーブ・ケースの生涯・名言
AOL創業者
スティーブ・ケースの生涯
幼少期
1958年8月21日ハワイのホノルルで生まれる。
子供の頃から起業家精神があり、自宅の裏庭で1杯2セントのライムジュースを販売したり、近隣の文書配達を引き受けたりしていた。
弟のダンと通販の会社も立ち上げている。
学生時代~就職期
スティーブ・ケースは、IT起業家にしては珍しくマサチューセッツ・ウイリアム・カレッジで政治科学を学んでいる。
ウイリアム・カレッジを卒業後、1979年から「P&G(プロクター・アンド・ギャップ)」次いで「ペプシコ社」というアメリカでも大手企業といえる会社に就職している。
これらの会社では主にマーケティングとセールスの分野で働いた。
この仕事についているときはじめてインターネットに関心を持った。
1983年にビデオゲームのサービス会社「コントロールビデオ社」に入る。
ここでインターネット会社で働いた経験を持つマーク・セリフと財務の専門家のジム・キンゼイと知り合う。
技術者たちとAOLを起業
マーケティングのノウハウをもっているスティーブ・ケースは二人とクォンタムコンピュータ社を設立する。
この会社は別の会社のネットユーザーにネットワーク接続サービスを提供することを業務内容とするものだった。
この仕事を請けていたコモドールコンピューター社が破綻したのをきっかけに1989年に社名をAOLと変更し成長する。
スティーブ・ケースはここでマーケティングの才を発揮することになる。
スティーブ・ケースのマーケティング戦略
スティーブ・ケースは、消費者の目線に立って考えたときコンピュータを使い慣れていない人がインターネットに接続するというプロセスは大変な負担になっていると考えた。
そこで1992年からインターネット接続サービスのマーケットに進出することに決め、1996年にはAOLに接続できるお試し用のCD-ROMを無料で配布するという戦略をとり爆発的に契約者を拡大することに成功する。
さらにAOLは料金プランも従量制から固定性へと切り替えますます発展していった。
様々な合併・買収
しかし、契約者が増えすぎてシステムが追いつかずサービスがおかしくなるという問題が起こり、契約者が増えれば増えるほど設備投資で赤字になるという事態にも陥ってしまった。
この時期にボブ・ピットマンを経営に招きいれる。
そして二人は、インターネットへのスポンサー広告の契約や契約者への新たなコンテンツサービス、サイト上での営業権の販売、コスト削減などの戦略を実行しこの危機を乗り越えた。
スティーブ・ケースは更に企業買収にも力を入れ、1998年にライバルであるコンピュサーブ社、ネットスケープ社という2社を買収。
2000年にはタイムワーナーと合併を計画し、通信をメディアの融合をもくろみ「AOLタイムワーナー」となる。
しかし、2003年には社名から「AOL」の名は取り除かれ現在は「タイムワーナー」となっている。
スティーブ・ケースはこの後、2005年に米投資会社「レボリューション」を設立し、2007年にはこの会社から派生したクレジット会社「レボリューションマネー」も設立している。
レボリューションマネーではいままでのクレジットカードの使用にインターネットを組み込み、顧客も契約事業各社も安価な手数料で利用できるサービス、クレジットカードのID盗難を防ぐ無記名カードの採用といった画期的なサービス事業を展開した。
スティーブ・ケースの名言
- 安定した新しいメディアを構築する秘訣は、情熱・人材・忍耐力・見通し、そしてパラノイア(偏執狂)になることだ
- 私の世界は消費者を中心に回っている。毎朝目が覚めるたびに『どうすれば、もっとおもしろく、役に立ち、楽しく、そして安い料金のAOLにできるだろうか、そして契約者を増やせるだろうか』と独り言を言っている。
関連書籍
- AOL―超巨大ネット・ビジネスの全貌(★★★★☆)
- 93年から98年までのAOLの歴史を徹底したインタビューを基に描いたもの。AOLの強さの秘密がわかります。
- 虚妄の帝国の終焉 ネット革命の旗手、AOLの栄光と挫折(★★★☆☆)
- 「アメリカ版ライブドア騒動」と取り上げられたタイムワーナーとの合併を題材にAOLを取り上げている本。