暴漢から一人でも多くの人を助ける方法

とある悲惨な暴漢事件

夜道

二十代後半の女性が、深夜、仕事の帰りに暴漢に襲われて殺害された事件があります。

35分間彼女は大声で叫びながら逃げ惑った末にナイフで刺され殺されました。

近隣住人38人の目撃者がいましたが、驚くべきことに警察に通報する人は誰一人いませんでした。

事件が起こったのは“眠らない街”としても有名な大都市:ニューヨークでした。

この事件は、被害者の女性の名前キャサリン・ジェノヴィーズにちなんで“ジェノヴィーズ事件”といわれ大きな論争を巻き起こしました。

どうすれば彼女は死なずに済んだのか?

なぜこのような悲劇がおこってしまうのでしょうか?

テレビや新聞、書籍などメディアの評論家たちは“都市部の人間の非人格化”がすすんでいるというコメントを多く残しました。

日本でも社会全体が冷たい世の中になってきているとしばしば耳にします。

本当にそうなのでしょうか?

また、どうすればキャサリンさんは助かることができたのでしょうか?

ここで二人の心理学教授、ラタネとダーリーが行ったある実験を知ってほしいと思います。

一つ目の実験は、発作を起こした学生を何人の人が助けるか検証するものでした。

実験の結果、一人で現場に居合わせた85%の人が援助してくれることがわかりました。しかし5人で現場に居合わせたときは31%の確率でしか救いの手を差し伸べることがありませんでした。

2つ目の実験は、建物のドアの下から煙が漏れ出てくるのを発見した人が何人通報してくれるのかというものでした。

ニューヨークでこの実験を検証した結果、一人だけで煙を目撃した場合には75%の人が通報してくれました。しかし目撃者が3人の場合には通報率は38%に下がりました。さらに、3人の目撃者のうち2人に煙を見ても無視するように伝えておいた場合10%の人しか通報しないという結果が出ました。

トロントで同じ実験をした結果も、発見者が一人であれば90%もの人が通報してくれるのに、無視する人を2人設置すると16%の人しか通報しないという結果が出たのです。

個人が発揮するべき率先力

つまり、本来多くの人は困っている人がいると助ける習性を持ち合わせているにもかかわらず、人数が増えると独自の行動を起こすのが難しくなることがわかったのです。

ジェノヴィーズ事件に例えるなら“38人もの人が見ていたのに誰も行動しなかった”のではなく、“38人もの人が見ていたので誰も行動しなかった”のだと考えるほうが自然な考察だということが明らかになったのです。

もし暴漢・レイプ・発作など緊急事態にあなたが遭遇したら、誰か一人を特定してその人に向かって助けてくれと言うようにしてください!

例えば「あなた、そう、そこの黒いスーツを着ているあなたです。助けてください。警察を呼んでください。」と言ってください。(この方法で助かることは“社会的証明”における“集団的無知”の観点からいって明らかといえるでしょう。)

「世界の中心で愛を叫ぶ」のように『助けてください!』と大声で叫ぶだけでは映画の二の舞になってしまうかもしれないのです。

あなたや多くの人が助かるためにこの方法を知っておいてほしい、知らせてほしいと思います。

そして多くの人が周りの判断に流されず、自分の判断基準で救いの手を差し伸べられる人になってほしいと思います。



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source credit titles 1.'Benhams - The Arc By Night / Sam Cockman