【恐怖症の心理学】恐怖による条件付けの克服方法
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「恐怖による条件付け」とは
あなたの心の中でも、もしかすると「恐怖による条件付け」という現象が起こっているかもしれません。
「恐怖による条件付け」とは、本来脅威でない事柄が頭の中で何か恐ろしいものと結びついてしまったために恐怖の対象となるような心的過程のことをいいます。
例えば、周りの人にとって何の変哲のない物に恐怖を感じることはないでしょうか?
- どうしても目をそらしてしまう物がある
- どうしても食べられない野菜がある
- どうしても近寄れない動物がいる
もしこのような症状があるとしたら幼い頃に何らかのアクシデントがあったのかもしれません。
じゅうたん恐怖症
生後8ヶ月ほどの元気な赤ちゃんを想像してみてください。
ちょっとお母さんが目をはなした隙に赤ちゃんは目の届かないところへ行ってしまいます。
つかまり立ちをしたりハイハイをしたりしながら移動し机の上など段差のあるところにのぼって危険です。まだ注意力に欠けているため落ちる可能性が高いのでヒヤヒヤします。
そして案の定、赤ちゃんは落ちてしまいます。
落ちると当然“痛み”を感じます。
すると赤ちゃんは周囲を見渡し何が痛みの原因なのかを探ろうとします。
もしそこに赤いじゅうたんが敷いてあったら赤ちゃんは赤いじゅうたんを痛みの原因だと勘違いする可能性があります。するとそれを学習し次から赤いじゅうたんを避けるようになるのです。
翌日、落ちたことが痛みの原因だと気づいていないこの赤ちゃんは再び高いところにのぼり落ちます。もしそこに青いじゅうたんが敷いてあったら赤ちゃんは今の状況と前回の状況を総合して考え共通するポイントを見つけようとします。
そこでも“落ちた”ということを正しく学習できなかった場合、じゅうたんという共通項を見出しじゅうたん恐怖症になっていくのです。
※通常、高いところから落ちて怖い思いをした人は高所恐怖症になります。
この恐怖反応は、ペットが“しつけ”をされたときのように何年にもわたって維持されます。
物事に対して私たちの脳はこれほどまでに柔軟に対応するものなのです。
トラウマの克服方法
通常は時間の経過とともに恐怖の感情は克服されていきます。
同じ経験を通して安全だと再学習することができれば次第に恐怖心は取り除かれていくからです。
幼い頃に犬に追いかけられて犬恐怖症になった人でも人なつこい犬に触れ合う内に恐怖心が取り除かれていくことはよくあります。
つまり、恐怖の対象に対しての絶望を取り去り、対処法があることを知り希望を見出すことができればよいのです。
幼稚園に不審者が乱入してきて銃を乱射した事件が発生した後、友達が殺されていくのを見ていた子供たちは、自然と殺害現場を思い出させるような遊びをするようになる事例が確認されています。
また、誘拐されたことのある子供はおもちゃを使って旅行に行く“ごっこ遊び”をするようになるともいわれています。
もしかすると大人は「そんな遊びをするのは倫理に反する。頭がおかしくなったのではないか?」と理解に苦しむかもしれません。
しかしながら彼らはどうすることもできなかった現実と向き合い仮想体験をすることで事件に対処しようとしているのではないかと心理学では考えられています。
前者の例でいえば、誰かが犯人役になって皆を銃で撃って殺す遊びを考え出し皆で逃げたり犯人をやっつけたりするのです。誘拐された子のケースでは、旅行先から何事もなく帰って来られるように遊ぶのだといいます。
もしトラウマを抱えていたとしたら、忘れよう忘れようと気をつかうばかりでなくトラウマの原因を見つめ直し克服するように努めてみるのも一つの対策になることを知っておくとよいでしょう。
恐怖と欲望に上手に向き合う
「恐怖による条件付け」がおこると学習能力や記憶能力が阻害されてしまうのでなんとしても克服してほしいと思います。
私たちは生まれたときから“痛み”と“快楽”という感度を頼りに良いことと悪いことを学習しています。
この方法を逆手に取れば、苦手なものを克服したいときや悪習慣を断ち切りたいときだけでなく、良い習慣を身につけたいときにも応用できるようになります。