80対20の法則とは
80対20の法則とは
80対20の法則とは、ほんの小さな原因が結果に大きな影響を及ぼしているという法則です。
この80対20の法則をみていくと全ての努力が対等に結果に結びつくわけではないということがわかります。
例えば、会社の製品群の内20%の製品が80%の利益を上げていることが挙げられます。
他にも、会社の売り上げの80%を20%の社員が稼ぎ出していることや世の中のお金の65%は10%の人が所持していることなどもこの法則が働いているよい例といえるでしょう。(80対20の法則は、人間社会だけでなく自然界にも適応されており20%の働きアリが80%のエサを運んでいるという例もあります。)
「80対20」といわれますが80や20という数字に限定された意味があるわけではなく90対10でも、8対2でも同じ意味合いを含んでいると考えてください。
また、所得格差の65%と10%の例のように数字の比率が必ずしも100%や10割になるわけでもありません。なぜなら上記の例からも理解していただけるようにそもそも“お金”と“人”は違う土俵の話であり、しかも“お金”も“人”も時間の経過につれ変化するからです。(お金の総数は65対35で100になりますし人間の割合も10対90で100になります。また市場に出回っている貨幣の価値や数、人口数も絶えず変化しています=以前の100%が100%ではなくなり割合が変動することもあります。)
「80対20の法則」には「最小努力の法則」や「不均衡の法則」、「ジュランの法則」、「ジップの法則」など様々な別称があります。特に、イタリアの経済学者ヴィルフレード・パレートが最初にこの法則を発見したため「パレートの法則」と呼ばれることも多いので覚えておくとよいでしょう。
80対20の法則の具体例一覧
- 5人でポーカーをすると、一人が掛け金の80%を取って勝つことが多い。
- スターの20%が、スポットライトの80%を独占している。
- 作家の20%が、ベストセラーの80%を生み出している。
- 窃盗犯の20%が、盗難品の80%を盗んでいる。
- お見合いパーティのような場では女性の関心の75%は25%の男性に集中する。
- あるギャンブル場の掛け金の90%は、顧客の10%が支払っている。
- コロラド・スプリングスの人口の1%が淋病の流行の100%の発生源だった。
- 世界の人口の5%に満たないアメリカ人が、コカインの50%を消費している。
- 世界中どこでも、雲の20%が、雨の80%を降らせている。
楽して、儲けて、楽しむためには80対20の法則を利用するのがよい
この80対20の法則を理解し利用すればあなたは今までより楽に目標を達成することが可能になります。
その理由は、80対20の法則が「最小努力の法則」の別名をもつことから想像してみてください。
具体例を5つほど挙げて説明していきたいと思います。
まず、スポーツの練習をするのであれば効果の出る20%の練習に注力することにより上達するための時間や体力を有効に使うことができることでしょう。
例えば多くの高校野球の部活動では基礎体力を向上させることに80%の練習時間を割いていることが多いと思いますが実際には“一日に何打かしかできないバッティング練習”や“一日に数十球しか捕球できないノック”、“配球のセオリーの学習”、“フォーム作り”などに当てる20%ほどの時間の方が試合に勝つために大きな効果をもたらします。
筋力トレーニングをするときも競技によって鍛える部位に優先順位があります。ハムストリングや背筋といった筋肉郡に重点を置いてトレーニングをする方がヒラメ筋や大胸筋を鍛えるよりもスポーツ能力の向上に効果的なはずです。
80対20の法則の実用例
暗記が苦手な学生は、授業のなかで特に重要だと思われる20%を確実に覚えることに注力したほうが広範囲を暗記するより効率的に点数を取ることができることでしょう。
(※ただし広範囲の単語を関連付けて覚えた方が記憶の定着率がよいという人や“その20%”が見極められないという人もいるため人それぞれやり方は違うかもしれません。)
また、仕事をするケースでは、頻繁に使う資料は全体の20%ほどにすぎず、それらの資料はファイルせずに机の上に置いておき残りの80%の資料はファイルにはさんで保管しておくと80%の仕事をスムーズに片付けることができます。
さらに、頻繁にクレーム処理をする仕事、例えばインターネット上の問い合わせなどは「よくある質問」の上位20%を掲示板に書き記しておくだけで80%の顧客の問題を解決できるようになることでしょう。
そして、独立起業するのであればあなたの専門性を発揮できる狭い産業に進出したほうが市場シェアの80%を獲得することができる確率は高くなります。
染み付いた苦行に対する美徳意識
もしあなたが自分の努力が報われていないような気がするのでしたら“苦行に対する美徳意識”は一旦よそに置いておいて“効果の大きそうな20%”を分析してみるとよいでしょう。
もしかすると「二度測って、一度で切る」ということわざ通り、20%の時間を使って考え80%の時間せっせと汗を流して働くよりも80%の時間を使って考え20%の時間働いたほうが作業効率向上につながるかもしれません。
80対20の法則を理解し日常に応用してみましょう。
※ただし『80対20の法則』が適応できない場合(ロングテールの法則)も存在します。特に人間関係を考えたとき『80対20の法則』の応用できるケースをしっかりと見極めていないと反感を買うことにもなりかねませんので注意してください。詳しくは「80対20の法則」の本を読んでください。
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